恋するほど   熱くなる
「モデルですか?」

「そう、君はいくつ?」

「もうすぐ二十一歳です。」

「へぇ、見えないな。十九歳くらいかと思ったよ。」

「私はモデルなんて興味ありません。」

「じゃ、何に興味があるんだ?」

「私はライターになりたいんです。」

「ふ~ん、ライターね。小説を書くの?」

「ちゃんとしたものじゃないけど、書いてます。」

「明日時間ない?」

「どうしてですか?」

「ちょっと社の方へ顔を出してもらえないかと思って。」

「お断りします。」

「ずい分はっきり言うんだね。」

「荒木さんはモデルを探しているんでしょう?私はモデルじゃなくてライターになりたいんですから。」

「両方なれるって言ったらどうする?」

「そんなわけにいかないです。会社にも行っているんですから。」

「取り合えず、土日祝日やってみないか?僕が全面的に面倒を見るから、やってみて嫌だったら辞めればいいよ。」

「平日会社へ出て、土日祝日も仕事だなんて、私には無理です。今日だって残業だったし、身体がもちません。」

「じゃ、こうしよう。毎週土曜日だけフルにして、日曜と祝日はパートでどうかな?」

「・・・・・」

私は返事に困った。

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