さみしがりやのホットミルク
「……馬鹿ねぇ、晴臣は。何をそんなに、こわがっているの?」



そんな言葉に、ゆるゆると、俺は顔をあげる。

自分を、まっすぐに見つめる母さん。その人がやけにやさしく、そして悠然と、微笑んでいた。



「女にここまで言わせといて、まだ逃げるつもり? 佳柄ちゃんは、あなたよりずっと、覚悟を持って今この場所にいてくれてるわよ」

「……ッ、」

「……あなたは普通の人よりも、もっと強く、大事な人を守れるんだから。守れるように、なるんだから。たくさん悩んで、葛藤して、ちゃんと覚悟を決めなさい」



すっと、その細い手が伸ばされる。

いつぶりか、俺の頭をやわらかく撫でながら。目の前の女性は、今度は母親の顔で、笑った。



「……そうやって、迷いながら。父さんと母さんは、あなたを……この組を、守ってきたつもりよ」

「──、」



そのせりふに、ぐっと何かがこみ上げてきて。思わず、目元が熱くなる。

おそらく情けない顔をしてしまっている俺を見ながら、「仕方ない子ねぇ」と、母さんは俺の右頬に触れた。
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