さみしがりやのホットミルク
さっきまで彼女が履いていたのは、いわゆるスキニージーンズというやつで。

だけどそれにはべったり、さっきぶつかった子どもの持っていたアイスがついたもんだから……着替えも兼ねて、佳柄は服を買ってくると言っていた。

そして今現在、会計を終えて着替えを済ませた彼女が履いているのは、ショート丈の淡い水色のジーンズ。

つい先ほどまでは隠されていた彼女の白い足が、今では惜しげもなく晒されていて。

突然の、その露出度の変化に。なんとなく、気恥ずかしい気持ちになってしまったのだ。



「……ねえ、オミくん、やっぱりなんかあったの?」

「……なんもねーって、」



目を合わそうとしない俺をやはり不審に思うらしく、佳柄がこちらの顔を覗きこもうとしてくる。

好奇心が旺盛な彼女に、こっそり心の中で舌打ちをした。


……ほんとは。昨日だって、見ないようにしてた。

短い丈の部屋着から、しなやかに伸びる白い足だとか、細い手首とか。

だけど──この子のことを、そういう目で見ちゃだめだ。言うなれば彼女は、自分にとって恩人のような人なのだから。


……そうは、思うのに……どうしたって、意識して、しまう。

ふわりと揺れる、その髪に。

無邪気に笑う、その顔に。

つい、手を伸ばしそうになってしまう。
< 45 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop