鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
ショコラストーンをお土産に少し遅めの帰り道。お父さんには連絡してあるし、冴子さんの家でご飯を食べるって言ってたからまだ向かいの家にいるのかな。


あたしは軽めにお茶漬けでも食べてちょっとだけショコラストーンを食べようかなとそんなことを考えながら歩いていると家の前に蹲る影が見えた。



やっぱり気にしている。気にすることなんでないのに。課長はそれも仕事の一つなんだから。



「もしかして、待っててくれたんですか?課長」



「俺、今、課長じゃない。眼鏡掛けてない」



視線を合わせるように同じようにしゃがみ混むと顔を上げた課長は少しだけお酒の匂いがして呂律が回っていない。だからか今まで見たオフモードの姿で一番幼く思える。



「気にしないでくださいね。朝のことは。課長は課長の仕事をされたんです。それに悪いのは・・・」



「俺、今は課長じゃない。だから名前で呼べよ」



腕を強く掴まれ、重なる視線。強い眼差しに目をそらせない。
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