鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「少し、歩くか」と私を立ち上がらせると掴んでいた腕をパッと離した課長は歩き始めた。追わないわけには行かなくて彼の後を追いかけるようにして足を急がせた。



「俺、オンモードになると手加減できない。だから、今日だって本当は佐伯がやってないのも分かってたのにあの場で佐伯のこと怒鳴りつけた」



近くの公園まで歩くと課長は少し座ろうとベンチに促す。やっぱり今日のことを気にしていたんだ。


優しいな、もう。でも、私は怒鳴られたことなんてちっとも気にしてない。それに嬉しかった。課長は私がやってないって分かってくれていたんだって。それだけで十分。



「私、気にしてませんよ。ちゃんと分かってますから」



「俺、オンモードになるといつもより身構えるんだ。『課長』だからゲームはしてはいけない。『課長』だからきっちりしなくちゃいけない。怒鳴るときも加減出来ない。イメージがあるから本当はこんなオフモードの自分を隠さなきゃいけないけど・・・でも、佐伯に知ってもらえて良かった」
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