恋しくて、哀しくて
誕生日から一週間ほど過ぎた、ある夜。



「ただいま…」



「あっ!お父さんだ」



学が玄関まで走って、謙一さんを迎えた。



「おかえりなさい」



心なしか、謙一さんの元気が、ない。ふぅ~と、深いため息をついて椅子に座る。



「ごめん」



「どうしたの?何かあったの?」



「急に転勤が決まった」


えっ!?
圭太くんの顔が、脳裏に浮かんだ。



「…どこに?」



「札幌だ」



「…札幌…」



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