やばい、可愛すぎ。


皐月くんは、きっと怖かったんだと思う。


だれからも信じたり、信じられたり、愛されたり、愛したりすることが。


だから、見ないふりをして。冷静なふりをして。


はじめから、信じなければ───傷つかないから。



「……そっか……」


当てはまらなかったピースが、ぱちりとはまったような音とともに、

じんわりと私の心に、皐月くんの痛みがしみ込んでくる。まるで、降りやまない雨のように。



窓越しから、外を見上げるとまだ───雨は降り続いたまま。

さっきまで高梨くんが座っていた椅子には、もう誰もいない。


高梨くんは最後まで、心配そうな顔をしたまま帰って行ってしまった。

私に、皐月のことよろしくね、と残して。



時計を見ると、もう8時前。



……あ、翔太。

まだ下りてきていないけど……どうしたんだろう。







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