やばい、可愛すぎ。


一瞬、戸惑う俺に翔太は、


「まいごにならないように!」


すっと、俺の手を握りしめてそれから、ゆりの手を握って引っ張り始める。



……迷子にならないように、か。


小さく笑みが口から、こぼれてしまう。


はやくかえろーよ、と俺の手を引いてくれる小さな手のひらは、あまりに温かくて。



うん、もう……迷子にならなくてすむ。

だって───俺には、帰る家があるんだから。


あの頃みたいに、誰もいない部屋でしくしく泣くことも、冷めたご飯を食べることも───ない。


「……ねえ、今日はオムライスにしよっか」


ゆりが、翔太を挟んでいる材料を指折り数えながら、口ずさみ始める。


「おーむーらーいーす!」

「あ、ゆり俺グリンピース抜きで」

「じゃあしょうたもーにんじんなしがいいー」


「馬鹿言わないの。しっかり食べてもらうから、そのつもりで」



3人で手を握りながら、家を目指す。

俺達の家へ───



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