ニセモノ×初恋=??
その表情がとても綺麗で。

思わず、ドキン、としてしまった。



だが。


そんな幸せな気持ちは長くは続かなくて。



ふいに、私の携帯が鳴った。

「?」

誰かと思い、ディスプレイを見てみると、

「あ、お母さんだ…」

今日は日曜日だけど出勤しちゃっているお母さんからだった。

「児玉くん、ちょっとゴメンね」

「いや、いいよ」

児玉くんを席に残して、鳴り続ける携帯を持って、外に出た。

「もしもし?」

『沙菜?お母さんだけど』

―――それはわかってますがな。

『いまどこ?』

「本買いに街に出てきてるよ」

店の外は日射しが強く、照り返しも暑かったので、すぐに汗が出てくる。

『ごめんだけど、お昼過ぎに荷物が届くんだったの。家に急いで戻ってもらえない?』

お願い、という形で聞いてくるが、ほぼ断れない雰囲気で。

「あー……」

さっき嬉しそうにしていた児玉くんを思い出した。

私も、実はもう少し児玉くんとプライベートで話してみたいなと思ってたんだけど。

ニセモノの彼女が必要以上に踏み込んで、調子にのらないようにという、神様のお告げだろうか。

『沙菜?』

すぐに返事をしなかった私に尋ねてくる。
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