ニセモノ×初恋=??
私が乗っていた列車が、ホームから消えていった。
降りていった人達の波が途切れるまで、私とその子は動かなかった。
―――こういう場合、ここで話すものだろうか、それとも場所を変えるのだろうか?
そう考えていると、
「あの……そこに座りませんか?」
と、ホームのベンチを指差された。
「あ、はい」
私が頷くと、その子はベンチに腰かけた。
―――可愛い子は、ボロなベンチに座っても可愛いなぁ…。
「失礼します」
ちょっとズレたことを考えつつ、一声かけて隣に座った。
お互い前を向いて座ってしまうと様子がわからないので、私は少し斜めに体を向けて座る。
そしてその子を見ると、ぺこり、と会釈され、
「…突然、ごめんなさい。何のお話しか……察してらっしゃいますよね?」
と、問われた。
なので、
「…何か、と言われたら自信はないんですが…児玉くんのこと……ですか?」
そう言うと、
「……はい。樹のことです」
凛とした声で、私を見つめて言った。
―――樹、って呼んでたな、昨日も。
児玉くんを樹と呼ぶ人が、田神くん含む少数しかいなくて、しかも女の子は今まで誰もいなかった。
だからこそ、この子は児玉くんに近い存在の女の子なんだということは理解できる。
「改めて、私、清黎高校2年の、二階堂 薫といいます。
そして、児玉 樹の婚約者です」
「…………は?」
可愛い彼女の口から出た言葉は、一瞬、理解しかねる言葉だった。