ニセモノ×初恋=??
「私の父と樹のお父様は、同じ大学病院にいました。同期で同じ科の医師として一緒に手術にも入り、赴任先も一緒だったりと、かなり仲が良かったそうです」

「はぁ……」

「最終的には、樹のお父様が自分で病院を立ち上げ開業し、私の父は私の母との結婚の関係で大学病院に残りました。それでも、家族ぐるみでのお付きあいがありましたから、私と樹も生まれてすぐから一緒にいたんです」

そう話して、一つため息をついた。

顔をあげたその表情は、私に一生懸命何かを伝えようとする真剣なもので。

「お互いの親は私と樹を結婚させようと約束して、私はずっとそのつもりで過ごしてきたんです。樹だってそれは一緒だと思います」

「はい…」

「樹が、他の女の子と付き合い始めたと聞いて、嘘だと思っていました。噂だけだって。でも……同じ中学校だった友達から各務さんのことを聞いて、嘘じゃなかったんだって……」

そこまで言って涙を浮かべ、言葉に詰まる。


―――ちょ、ちょ、ちょっと!周りから見たら、私が可愛い子を苛めてるみたいだし!!


突然、涙を浮かべた女の子を前に、あたふたしてしまう。

「あっ、あのっ……」

「各務さん!!」

私が話しかけようとしたのを遮られ、二階堂さんが私に頭を下げた。

「えっ、ちょっ…」

「樹と、別れてください!お願いします!!」

頭を下げたままの二階堂さんから発せられた声は、震えつつもはっきりとした、強い意思を含んでいて。

…頑張って決心して、伝えているんだろうなと感じた。

だけど、そんなふうに頭を下げられても、どうしたらよいのか私の方が慌ててしまう。

「頭っ、頭上げて下さいよ!」

< 385 / 558 >

この作品をシェア

pagetop