ニセモノ×初恋=??





「落ち着いた?」

「へい……」



九条さんと別れてから、いろんな出来事があってパニクっている私を、田神くんが家から最寄りの駅まで送ってくれた。


「ごめんね、何から何まで……遠回りまでさせちゃって……」

駅のホームのベンチに座って私が謝ると、

「いーよ、大丈夫」

隣に座って田神くんが笑ってくれた。

「何で……こんな、今日は偶然、いろんな人に会って、いろんなことが起こるんだろ……」

深くため息をつく。

「ごめんね……田神くんも何か噂されてたのに……」

「気にしてないよ、よくあることだし」


―――さすがモテる男。

気を使って言ってくれているのかもしれないけど、それがいまはありがたかった。


「それに」

一言そう言ってから私の手を掴み、

「沙菜ちゃんがこんなになるまで我慢してたのに、俺がキレるわけにはいかないでしょ」

「!!」

私の手のひらを広げた。

「全く、こんな血が出るまで、爪が食い込むまで力を入れて我慢して……」

―――傷付いた私の手のひらに気付いていたんだ。

田神くんの気配りに驚く。
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