ニセモノ×初恋=??
「ところでさっきの話だけど」

おもむろに児玉くんが口を開く。

「どうして、薫を婚約者だなんて誤解したの?」

「え?」

列車に揺られながら聞かれた内容は直球で。

「さっきも言ったけど、薫と各務さんが知り合いなんて思ってもみなかった。学校も違うし、
友達の多い各務さんでも意外だなと思って」

「あ、うん……」

「誰からか言われた?」

いまだに握ったままの手に力が入る。

「………………」

まさか、二階堂さんからなんて言うのもどうかと思ってしまい、黙り混む私。

その様子で何か感じたのか。

「……まさか、薫………?」

言われた名前に戸惑いつつ、うつむく。

「………ごめん。言えない……」

「………そっか………」

私の言葉に少し元気のない声の児玉くん。



そして、二人の間に沈黙が流れる。

列車の走る音がやけに大きく聞こえた。



「でも」


沈黙を破ったのは児玉くんだった。


「俺の方こそ本当にごめん。各務さんにはダメと言いつつ、自分は内緒でバイトしちゃって……」

そういう児玉くんの声に、思わず顔をあげた。



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