欲張りでいーでしょ!!!
久しぶりの再開


ただいま幸せ♡な席替えの後の
幸せ♡な午後練でーす✩

『紗羅…おまじないって聴くんだね✩』

『本当に良かったねぇ。
まさか…本当に隣になるとは…』

『愛の力だよーん愛の力!!!』

あー♡


このままなら空飛べるかもぉ♡♡


『部活中に浮かれるな。』

『紗羅だって忍とラブラブなく・せ・に・♡』

忍って意外とロマンチックな奴だよね〜

紗羅の好みとか意外と分かってるし??


『ったくもう…杏はー…』

ダムダムダム


ハッ


体が音に反応して振り返る。


反応する理由ー…??


決まってんじゃん。


半年以上ずーっと…

この音に振り返って来たんだから。


『…やっぱ、気になる??』


目で探してしまう…

岳ー…



バスケ部は部長が大怪我を追って、仮 部長を決めるために争って大喧嘩になって、問題になって3ヶ月くらい部活停止してたの。

今日から再開なんだ。


『見ない方がいい。』

バッ

『ちょっ…紗羅!?』

紗羅に頭を90度回された。


『…杏には幸せな恋して欲しい。』

『さ…紗羅…!!!』

ブワワッ

『さ゛らぁ゛ぁ゛ー!!!』


『顔やばいよ??クスッ』

『そんなのどーでもいいもんッッ』


こんなにも優しい親友がいることだけで私は幸せなんだよね。


『おいッッ!!!』

ガンッ

ビクッ

な、何事ッッ!?


そう思って振り返ると…


バスケ部の顧問、多賀先生が顔を真っ赤にして1人の生徒を睨みつけていた。


体育館はシーンとしてつばを飲む音が静かに聞こえる。


『あ、んず…誰あれ…』

頭にタオル巻いててユニホームもみんなと同じだから誰か全くわからない…


『聞いてんのか!?岳!?』


ザワッ


が…く!?



体育館の空気が不穏に包まれる。

嘘…ッッ!?


あんな熱心で…一生懸命な岳が…!?

何で先生に…あんなに…


『…』

岳は無言で唇を噛んでいる。


『…おい??いい加減にしろよ??』

グイッ

岳の胸元を先生は掴むとさらに強く睨みつけた。


バッと先生が手を平手にして振り上げた瞬間だった。

紗羅が『杏ッッ!?』と呼ぶ頃にはもう先生と岳の前に立っていた。



バシッ





頬に痛みが走る。




先生が目を見開いて私の肩を支える。

『か、笠原ッッ!?大丈夫か!?』


背中を向けているから岳の表情は全く見えない。


痛い…


右手で頬を触ると熱を感じた。


『杏ッッ!!!!!!何してんのよ!?』

さすがの紗羅も駆け寄って来た。



ただでさえ体罰問題が忙しい今…

普通、平手打ちなんてしない。


それほどー…の事がなければ。



先生だって、理由もなく殴るわけない…

『笠原…すまない。』

先生は頭を下げて私の顔を見た。

『ど、どうして岳を…』


『ーーッッ……』

先生は黙りこくってしまった。


周りを見ると 非常口のドアからも外の部活の人達が覗いている。

こんなとこで…言えるわけないか。



それより…



何で…私ったら




あんなひどい事されたくせに…



かばえるんだろう。



右手で抑えた頬がジンジン痛む。


先生も本気でやったんだろう。



『杏…晴れ上がってるよ!?』

『だ…いじょ…』


ザッ


イキナリ手を引かれた。

『え…??』

『…保健室。頬、スゴイ晴れてるッッ…』

『が…岳…』


心配そうに私の頬に手を当てる。

『ワッ///』

『…ごめん。俺のせいで…ッッ』


髪…伸びた??

身長もー…ッッ



〝笠原ッッ!!!〟



ふいに朝日の笑顔が浮かんで


『や…やめてッッ』

バシッ


手を…振り払ってしまいました……

『あ…ごめ…』

謝りかけた時。


『来て。』

グイッ


『ちょっ…待って!??』

強引に手を引かれて体育館から出た。




『宮沢…!!!』

『……笠原…ッッチクショッ』

ガンッ


朝日が不安そうに…怖そうに。

壁に手を叩きつけていたともしらずにー…
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