セカンドデビュー【完】
「松本が車を捨てたなら、水辺には捨ててないと思うんです」
「理由は?」
「松本は、母のためにやったと言ってました。彼は母のことを片思いですけど、好意を持っていました。犯罪に加担した身として、そのへんに車を捨てるとは思えないんです」
「なるほど」
「山中や林道は、登山者や観光で訪れた人の目に入るかもしれません。放置車両だったら通報されるでしょうし」
「個人の私有地なら、通報されても警察や行政は立ち入れません」と玉木。

個人の私有地。
実家がこのへんにあるとか。
「意外と土地があるのかもしれん。調べてみよう」

鏡原は松本の出身地はもう調べてあるようだ。
電話を何箇所かにかけると、メモを取った。

「松本の父方の祖父の家がある。いまは空き家だそうだ」
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