異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



午後のティータイム


あの後教師役のマクベス伯夫人にしっかり捕獲され、1時間の予定だった礼儀作法の授業が2時間になってくたくたですってば。


今日のお茶は新しく作られた品種。ティオンが研究したお茶を淹れてくれたらしい……んだけど。


外側に接する一面がガラス張りのサロンは、春に近い初春の日光でぽかぽかと暖かい。


木製の白い椅子に腰掛けながら、あたしはまだう~む、と考え込んでた。


ふわふわしていない甘過ぎないお菓子……となれば、ケーキ類は除外した方が良いよね。


そういえば、とあたしは顔を上げて出入口付近にいる人を見る。


厳めしい軍服に身を固めて直立不動に近い姿勢で警護をしてるひと……近衛隊隊長のライベルトだ。


以前、彼はティオンの砂糖菓子事件の話をしてくれた。幼なじみの彼なら、ティオンの好みは詳しいだろうし。何より近い年齢の男性の意見を聞きたいと思う。


「ねえ、ライベルト。ちょっと訊いてもいいかな?」

「何でしょうか?」

「あのね、もしもの話だけど……ライベルトがもらえたら嬉しいお菓子って何があるかな?」


本当に何気なく訊いただけなんだけど。


なぜか、ライベルトがそのままの姿でピシリと固まった気がした。
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