異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



まさか、ティオンがそんなふうに気にしてくれてるなんて思わなかった。


彼は毎日夜遅くまで執務に携わっている上に、王宮では国王陛下について政務の補佐をしている。

次期国王として学ぶことも多い上に、国内外の高官や政治家との顔合わせや会談なんかもあって。一分一秒を争う過密スケジュールで、すごくすごく忙しいはずなのに。


あたしがそうやってこっそり薬草を育てていることや、勉強していることをきちんと解っていてくれたんだ。


その上あたしの好きな緑茶まで完成させて振る舞ってくれて……。


忙しい中で都合を着けてここに連れてきてくれたのは、出来上がった診療所や学校を見せてくれるためだったんだ。


「ティオン……あ、ありがとう……」


また、涙がこぼれそうになったけど。どうにか笑顔になって彼にお礼を言った。


ティオンは柔らかく微笑んでくれると、あたしの手をまた軽く握った。


「学校はともかく、診療所は今はまだ実験的な意味合いが強いから、最初は国の支援で運営するけど。いずれはちゃんと独自にやっていけるようにするつもりだからね」


ティオンの説明は納得のいくものだ。軽いケガや病気はともかく、重い病やひどいケガの治療はとにかくお金が掛かる。だからといって収入があまりない人たちの治療費を国が肩代わりしていたら、医療費が国庫を圧迫してたちゆかなくなるもんね。


セイレスティアはもともとそれほど豊かとは言い難いし、戦争の復興や何やらで予算が限られるのは仕方ないもの。


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