異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
学校の授業料は無料で。医療費については村民が無理のない範囲で毎月支払ったお金を貯めて予算を組み、その中から治療費の何割かを負担するというシステムで。
ティオンが地球の健康保険や義務教育に似た考えを持ってることにビックリした。
義務教育だって国民総保険だって、かなり現代的な考えだ。国によって教育は義務じゃないし、アメリカでさえ健康保険は任意なのに。
あたしが思わずそう漏らすと、ティオンはちょっと寂しげな顔をしたけど。それはすぐに消えていたずらっ子みたいに笑う。
「それに気付いたきっかけについては、秘密だよ。君が思い出したら話してあげる」
「思い出したら?」
「ヒントは、この腕輪かな」
ティオンはそっとあたしの左手首にある、緑色の腕輪に触れた。透き通ったそれはクラックや不純物がほとんどない。初めて気付いたのはディアン帝国の皇子に誘拐された時だった。
それは、なんだかしっくりと肌に馴染んで温かさすら感じる。今では自分の一部にも思えるから不思議。
「これって、ティオンがくれたんだよね? ありがとう……でも、ヒントって?」
「それは思い出してのお楽しみ、かな。村長が焦れてる。早く次の視察に行かないと、子ども達に君を取られたままになっちゃうからね」
ティオンが苦笑した通りに、試験的に始まった学校の授業を受け終えた子ども達がこちらへ向かって走りよってくる。
「ユズ様、“はないちもんめ”して遊ぼう!」
「どんぐりのコマ回しうまくなったんだ! 見て」
ティオンの言うとおりきりがないから、近いうちにまた来る約束をして何とか逃れられましたわ。