異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。



最初は、唇の端に軽くで。


ふんわりと柔らかいキスに、された実感が湧かないままティオンを見下ろした。


「君の初めてのこれが、プレゼントのお返しね」


え、それって普通逆じゃない? と冷静にツッコミそうになったけど。確かに初めてのキスにしては、あっさりしていて……それでも頭が混乱しそうになる。


体のぜんぶが心臓になったみたいに、せわしない鼓動を強く感じた。


「君に一番惹かれているのは他でもない僕なんだよ、ユズ」


ティオンはそう言ってコツン、とおでこをあたしのそれに軽く当てた。そして、顔が近いままにかすれた声で囁く。


「……最初はただの変な子だと思ってた。
でも、君はいつだって僕を救ってくれた。
どうしようもない孤独を感じていた寂しい子どもだった僕を、その小さな手で受けとめ掬い上げてくれたんだ」


キュッと握られた手が……熱い。ティオンに熱はないはずなのに、温かさが胸の中から触れあった場所から広がっていく。


「……今まで曖昧にしてきたけど、改めて言わせて欲しい。ユズ……僕は君を――」


こぼれ落ちた言葉は、世界で一番幸せな言霊で。


あたしは、それをティオンの熱とともに受けとめた。





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