異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
「な……何で。あんたの添い寝なんて要らないわよ!」
『あれ? 僕が怖いのかい? やっぱり経験不足が……』
「怖くなんかないわよ!」
ティオンの言い種にカチンと来たあたしは、勢い込んでベッドに横になる……前に。
やっぱりドレスがシワになるから、脱がなきゃいけない。
ティオンの視線が気になるものの、挑発に乗った以上は仕方ない。天蓋のカーテンに隠れてモソモソ脱ぐと、ドレスの下に着てるワンピース姿になった。
(なんでもない。コイツは猫……そう、猫なんだから)
あたしは自分の中でそう念じながらベッドに乗る。重みでスプリングが軋み、なんだか恥ずかしさが増した。
「お……お邪魔します」
挨拶してから、ティオンからなるべく離れて体を横たえる。クックッと笑い声が聞こえて、思わず怒鳴り付けた。
「何が可笑しいのよ!」
『プッ……だって、ベッドに入るのにお邪魔しますって……初めて聞いたよ』
「わ、悪かったわね。どうせあたしは小市民よ! それのどこが悪いの!?」