異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。
『いや、悪くはないよ』
クスクス、と小さく笑いながらティオンはこちらを見遣る。
ドキン、と心臓が大きく跳ねた。彼の不思議な瞳の色を、初めてこんな間近で落ち着いて見た。
『ユズ、僕は君だから喚んだんだ。他の女だったら関わろうとも思わなかったよ』
「あたし……だから?」
意外な告白をされて、少しだけ鼓動が早くなる。
『そうだよ。ユズだから僕は必要としたんだ』
「ホントに?」
『ああ、神に誓っても』
本気で、ティオンがそう言ってくれたのが解って。なんだか嬉しくなる。
「ティオンの瞳って、不思議な色だね。緑色なのに青みがかってて……南の海みたい」
『君だって、瞳が茶色だし。綺麗な髪をしてる』
ティオンの手が伸びて髪を一掬いしても、止めようとも思わなかった。
掬われた髪がさらさらと指の間をこぼれ落ちる。
それを見てると、急に意識が眠りに引きずり込まれてく。
『おやすみ、ユズ。いい眠りを』
ティオンの唇を額に感じながら、ストンと眠りに落ちた。