虹の架かる橋
「俺のキモチ、話していい?」


私は無言で頷いた。


「俺はね、付き合うってカタチに、ハッキリ言ってしたくないんだ…。」


「ケイが、どうしていいか解らないって言ったじゃん。」


「それは、離れてみて初めてわかる事だけど、辛い限界を感じたらきっと、近くの優しさに触れたくなるから…。」


「それは、誰が悪い訳でもないのに付き合ってるって事実で、キモチを我慢してしまうんだよ。」


「だから俺は、ケイに幸せになってほしいから、付き合うってカタチにしたくない。」


「前も言ったよね?」


「うん。」
私は浜松での会話を思い出した。


「俺もケイの事好きだよ。だけど、俺が俺のために留学してる事で、ケイに辛いって感じさせたくない。」


私は無言のまま、頬には涙が伝っていた…。


しばらくして、私はそれでもいいから…付き合いたいって強く思った。




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