月の恋
「月子っ!何ぼーっとしてんの?
早く入ろうよー」
はっとすると、
柚は既にドアの前に立っていて、ぼーっとする私に痺れを切らしていた。
「あ、ごめんごめんっ」
慌てて柚を追いかけ、扉を開けると、扉に取り付けられた美しいベルの音がなり、ふんわりと甘いバニラの香りに包まれ、ほっと肩の力が抜けた。
少し暗めの照明と、優しげな音楽に、気分が安らぐ…。
それ程広くはないけれど、清潔感があって、木でできた家具が柔らかい雰囲気によくあっていた。
「早く座りなよー」
またぼーっとしてしまった私に、いつの間にか座っていた柚が声をかけた。
「オシャレなお店だねー、
ケーキ屋さんてゆうより、カフェでしょ?」
座りながら言うと
「でしょー?すてきだよねっ
いーのいーの、ケーキおいしいしっ」
柚は楽しげに答えた。
まったく、適当なんだから…
なんて呆れていると、奥から人がでて来る音がした。
店員さんかなあー、なんて思って振り返ると、
とんでもなく美しい人がいた。
スラッとした長身、長い艶やかな黒髪、少し浅黒い肌、そしてとにかく綺麗な顔。
性別がイマイチよくわからない。
私が見惚れていると