Dear.


「斎藤がな...”武久は総司の事をまだ思っているみたいだ”ってたぞ?」



僕がただの風邪と偽って横になっている時だった。
そんな事を言ってニヤリと笑っている土方さんが僕の部屋の入り口のそばに立っている


嬉しかった、純粋に嬉しかったんだ


だけど、僕には彼女を幸せに出来ない


もし、出来たのしても一瞬のもので、永遠ではない



「そう..ですか...」



ただ、冷静にそう土方さんに返すといきなり胸ぐらを掴まれてしまう

土方さんは病人相手でも容赦がないから困る


「お前、それでも新選組の一番組隊長か?」



「どういう意味ですか?」



ギラギラと、強い目をしながら僕に向かってそういう土方さんはきっと、僕に諦めるのか?とでもいいたいのだろう

だけど、諦めるのもなにも、僕には権利がないのに



「奪えよ、好いてる女の願いだろ


叶えてやれよ。」


願いって、この人は先の事を考えていないのだろうか


叶えたって、桜の花のように一瞬でしかないこの命



そんなんじゃ、慶を抱きしめれやれない

好きだなんて、もっと言えない



「僕には出来ませんよ土方さん。

僕は土方さんみたいにはっきりと好きなんて思う資格もなければ言う資格も本当はないんですから。」



吐き捨てるように言えば、頬に強い痛みが走る

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