Dear.


「ふざけるなよ総司...」


低い低い土方さんの声が部屋に響く。

本当に土方さんは容赦がない

病人を殴る、普通?



流石に僕でも苛々してきた、だってどうにも出来ないことをどうにかしろなんて、馬鹿げてる


「どうしろってんですか!!!
これ以上僕は..彼女を、慶を傷つけたくないんだっ!!!!」



本当に、これ以上は...

彼女の涙は見たくはないんだ。



「だからって、誰かに押し付けんのか?

途中で投げ出すのか?あ?」



痛いとこをつかれ、言葉が出なくなる僕はしたを向いて唇を噛む


確かに、投げ出したと見られても仕方が無い


江戸から無理矢理彼女を騙して京に呼びたして、笑わせたり、怒らせたり、泣かせたり..色々な日々を彼女と共に過ごしてきた


それで分かった気持ち。



好きだ、愛してる。



何度も何度も隠し続けたけど、やっぱり堪えられなかった大きな気持ち



それが今更やっぱり消えるはずはないんだ



やっぱり、僕は慶が好きなんだ



幸せに出来なくてもそばにいて欲しい





それだけなんだ...

< 162 / 195 >

この作品をシェア

pagetop