Dear.


五ヶ月経ったあたりで珍しい客人がこの家を訪ねてきた



私のお腹は大きく膨らみ、逆に総司はだんだん痩せ細り白くなっていたと思う



「久方ぶりだな。」



それは紛れもなく何処と無く上から目線で何処と無く俺様口調の鬼の副長土方歳三の来客であった



「土方様!

お久しぶりです!!!」


土方様を庭先で目にするなり少し膨らんだお腹をさすりながらかけよれば

おいおい、と苦笑されてしまう



「だいぶ大きくなったじゃねえか」


「ええ、おかげさまで。」


この頃になればつわりもなくなり、逆に食欲旺盛になってしまった私は最初の頃得られなかった栄養をここぞとばかりとっているのだ


だが総司はその逆で、ちょびちょび口にするだけで、あれでは治るものも治らないというくらい少食になりつつあった



「総司に...会いますか?」


ためらいながらもそう聞けば

「ああ、久しぶりにあいつにもあわねえとな」


といって苦しそうに微笑む土方様


彼も彼なりに覚悟してきたのだろう


総司の変わりようや、これからの事を考えて。


< 184 / 195 >

この作品をシェア

pagetop