Dear.


『僕は行かないといけないんだ

ごめんね?』



そう言って男の子の握る手を離そうとするが、離してくれない

まるで行くなと慶にも、この男の子にも言われているみたいでなんだが躊躇いというものが心の中で生まれてくる


すると男の子は最後の力を振り絞ってか

『行かないであげてよ。』

そう言って僕を生きる側へと引っ張ろう引っ張ろうとするんだ


『けど..、僕は.....』



これ以上生きてても仕方ないんだ、生きてても死んでもどちらにしても慶を泣かせてしまうのには変わりはない



『あの人を一人にしないで!

まだ、僕が一緒にいてあげられるまで頑張って!!!』



『....え?』



何を言っているのだろうこの男の子は。




まるでそれでは、僕が生まれてくるまで生きててくれと言われているみたいじゃないか




こんな奇跡みたいなことってあるんだろうか?



あるんだとして、僕はその奇跡を生み出したんだ...誰とでもない慶と共に。



自分の寿命からして、もう子供とは会うことなんてないんだろうって考えていた



けど、会えた




紛れもない僕らの生み出した奇跡によって




涙ぐむ声をなんとか押さえつけて、父である自覚を持つように男の子のまだ小さすぎる肩に手を置く



『ねえ、君の名前は?』



男の子は一瞬キョトンとしたけど次の瞬間にはニコッと笑顔を見せてこう言ったんだ



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