Dear.
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ふわふわとしたなんとも居心地のいい場所で目が覚めた



『あれ?』



周りを見渡すが、慶はいないし、何処か納得の行く場所てもあるのは確か



『ははっ、僕死んだのかな?』



いや、死んだというよりは死ぬ前なのかもしれない

まだ、意識は定かではないし、袖や頬を誰かが触るようなそんな感覚もする



きっと、これは慶なんだろう

慶が泣いて僕を呼び止めていてくれているのだ


でも、もう戻ったところで僕は慶に何もしてやれない
毎日、心配させて、あれでは腹の子も慶も不安で仕方ないだろう



今、死ぬのが彼女達の為でもあるわけだ。




『慶..、ありがとね。』



ぬくもりを振り払うかの如く、死の方向へ向かって歩き出すのだが、袖をつかまれているという確かな感覚が僕を引き止める




『君も...一緒に行く子かな?』


振り返ってみれば小ちゃい男の子が僕の袖を握って離そうとはしない


不思議なものだ。

こんな場所にこんな小さな男の子とめぐり合うなんて、生きた時間が違うのに可哀想に...



そう思ったが、男の子は行かないと首を横に振りその場を動こうとはしない


成る程、この子は生きたくて、僕は死にたいわけだ。



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