フラグ
7st.flag ~第七のフラグ


冬休みも、みんなで遊んでばかりいたらもう大晦日、冬休みも残り1週間を切っていた。



俺たちは、慌てて冬休みの宿題を教科別で各自やって写すという事をしていた。



あの夏休みの宿題をほぼ1日で終わらせた方法だ。



例のように、田中だけは罪悪感があるようだったが、俺たち男子3人は冬休みの残りを考えたら、どう頑張っても不可能だからそんな事は言ってられない。



それでも今回は、前回の夏休みで1日でしたのが大変だったので、大晦日と元旦明けの2日の2日間に分けてした。



2日に分けてしても、やはりこの方法なら通常一人でやるよりも、相当早く終わる。



宿題も全部片付いて、あっという間に三学期が始まる。



三学期が始まっても、俺たちは相変わらず昼は屋上で弁当やパンを一緒に食べた。



とくに寒さが厳しくなってきた2月、健太が学校が終わってから、たまには男3人で商店街に行こうと誘ってきた。



一旦家に帰り、着替えてから花チャリで商店街に向かった。



男3人が集まって、駄菓子屋で買った駄菓子を商店街の広場で食べて話した。



健太が唐突に「隆、田中のこと好きなんやろ?」と言ってきた。


俺「ゴホッゴホッゴホッ!」


花「えらい急に爆弾発言するなぁ健太、ははは」


健太「あっはっは、ちょっと聞いときたかったんや」


俺「ほんまやで健太、急に何言い出すねん!」


健太「こういう話しは、徐々に聞けへんやろ?ほんでどうなん?」


俺「えらい食い付くなお前、さぁどうなんやろな?俺にも分からんわ」


健太「ほな、明神は?」


花「ほんま、どないしてん?健太」


俺「佐知子?佐知子には色々恩もあるし幼なじみやけど、好きか?言うたら違う気がするな」


健太「お前、今がおもろいからこのままでええ思ってるかもしれんけど、このままいったらバラバラになるで」


俺「何でや?みんな仲良うしてるやんけ」


花「まぁ隆、こいつの言う事も一理あるで、例えばの話しやけどな、明神に彼氏出来たらどないなる?」


俺「その彼氏も一緒に遊んだら、ええんちゃうん?」


健太「アホか?お前、そんな事出来るかい、だいたい向こうにしたら俺ら単なる邪魔者やんけ」


俺「そんときは、そんときやろ?」


花「いや、そないなったら田中も俺らの輪の中には、居づらいやろうと思うで」


健太「そや、田中が居づらいし来れへんってなったら茜ちゃんも来うへんやろ?」


俺「えぇ?そんなもんか?」


花「そんなもんや、俺らは友達やけど、男と女やねんで」


俺「そらそうやけど…」


健太「お前は、あの二人を女としてどうすんねん?」


俺「どうすんねんって何やねん?」


健太「さっきの話しは、まだバラバラになるだけでマシやねんぞ、お前はいつかどっちか選らばなあかん時が来るっちゅう話しや」


花「隆、あの話し健太にもそろそろした方がええんちゃうか?」


健太「あの話して何や?」


俺「夏に、俺の家でバーベキューしたやろ?あのときに佐知子に好きやて言われたんや」


健太「ほぅ、ほんで隆なんて言うたん?」


俺「俺は、恋愛とかまだよう分からんし今までどうり、みんなでアホな事してたいって言うた」


健太「まぁ今はそれでええけど、ええ加減このままやったら離れて行くやろな」


俺「そんなもんか?」


健太「そらそうや、明神は好きやて隆に伝えたのに、隆はちゃんと答え言わへんかったらしびれ切らしてどっか行くやろ」


花「ちゃんと付き合えへん言うても、どうなるか分からんけどな」


俺「んー……ほんなら結局一緒なんちゃうん?」


花「そうでも無いと思うで」


健太「俺のシュミレーションでは、隆が明神と田中のどっちかの彼氏になったら丸くおさまる」


俺「何でやねん?」


健太「今は明神と田中も、もう完全に友達やろ?だから大丈夫や」


俺「まだ話しがよう分からんな」


花「なかなか核心を付くな健太」


健太「例えばの話し、隆が田中と付き合って彼氏になるとして、佐知子は隆から距離を置くようにはなるかもしれん、けど田中と明神の関係は今まで通り友達やから、田中から明神を誘えば今まで通り遊べるやろな、その逆も一緒や」


俺「納得は、出来る話しやけどな…」


健太「まぁ別に、俺と花は明神と田中が離れて行ってもええんやで」

「でもな隆、明神と田中の事を考えてやったらどうや?」


俺「……」


花「健太、隆は明神と田中の事考えてないわけやないんやで、隆は自分の気持ちが分からへんねん、だから困っとるんや」



俺は、自分で自分の気持ちが分からない、確かにそう思っていた。



だが実際は、自分の気持ちに気付かないフリをしていたのかもしれない。



あの冬休みにみんなで行ったスケートで、田中と転けた時に今まで感じた事のない感情と鼓動の高鳴り、いやもっと前……



田中が池のボートに乗る時に、差し出した手を田中が掴んだ時、俺は「ドキッ」っとした。



俺は、あの夏から田中の事が好きだった。



ただ、今まで通りの関係を潰したくないという俺の考えで自分自身の気持ちを、見て見ぬフリをしていただけなのかもしれない。



この時もし、健太に言われなければ気付かなかった自分の田中への気持ち………





俺は……田中が好きなんだ。




健太「隆、後はお前がどうするかや、ほんでこの事をどうしたって俺ら3人は変わらへん」


花「まぁ、そうやな」


俺「とりあえず、もうちょっと考えてからやな」


健太「おぅそうやな、そんな焦る事もないやろうな、今すぐ明神と田中が離れて行くわけでもないやろうしな」



俺は、その日帰って考えた。



田中を好きなのか?



田中の事を好きなのかもしれない。



田中は、俺の事をどう思っているんだろうか?



もし俺が、佐知子に田中を好きだと言ったら、佐知子は何て言うんだろう?



もし言ったら、佐知子との関係はどうなるのか?



佐知子は、それでも毎日夕飯を作りに来てくれるのか?



夕飯が目当てではないが、俺も舞にとっても佐知子が来てくれるだけで毎日が楽しかった。



舞……



毎日の夕飯の団らんがなくなった時、舞はどう思うのか?



この時の俺は、やっぱり自分の気持ちよりも佐知子や田中や舞の気持ちを先に考えてしまう。



これからは、自分の気持ちと向き合って毎日みんなと過ごそう、そうする事で答えが出るような気がした。




それからの学校生活も、毎日いつもと変わらず過ぎていった。



一つ違うのは、日に日に確実に大きくなる田中への気持ちや感情だった。



3月に入る頃、俺は田中に自分の気持ちを伝える決心をした。



3月も半ばに入り終業式が近づいて来たある日、思いもよらない事が起こる。



いつものように、変わらずみんなで屋上で昼を食べてた。



健太「やっともうすぐで春休みやな」


俺「そうやな、春休み何して遊ぼう?」


花「春休み終わったら受験生やな」


健太「うわぁ、ほんまや!」


俺「みんな近くの公立行くんやろ?」


花「俺は、近いからそうするで」


健太「俺は、受かるかどうかが問題や」


俺「みんなで同じ高校行く為にがんばれ健太」


佐知子「そう言えば、美幸まだ来うへんな?」


花「そう言えば、遅いな」



結局その日、田中は屋上に来なかった。



1日の授業が終わるチャイムが鳴り、俺は3組の教室に行って佐知子を誘って、田中の9組の教室に行ってみた。



9組の教室内を見ると、田中はいなかった。


佐知子「美幸、今日休みなんかな?」


俺「風邪でもひいたんかな?」



そんな話しをしていると、佐知子と同じテニス部の佐藤清美が話しかけてきた。


佐藤「あっ佐知子、田中さん探しに来たん?」


佐知子「あぁ清美!美幸、今日は休み?」


佐藤「うん、今日は休みみたいやで」


佐知子「そっか、清美ありがとーまた部活でね」


佐藤「うん、また後でね」



佐知子と佐藤は、手を振りあって佐知子は俺の方に向き直り「今日は美幸休みみたい」と言った。



9組の教室を出て、廊下を歩きながら俺は言った「風邪かなんかやろうな、治ったらまた来るやろ」


佐知子「そうやな、じゃあウチ部活あるから行くわ」


俺「おぅ、ほんならな」


佐知子「うん、また後でね」



俺はそのまま帰ることにした。



翌日も、田中は来なかった。



田中が学校に来なくなって3日目がたつ経った、さすがに少し心配なった俺は佐知子と一緒に9組に行き佐藤に聞いてみた。


佐知子「ねぇ清美、まだ美幸って学校休んでる?」


佐藤「うん、今日も休んでるみたい」


俺「何で休んでるとか担任言うてた?」


佐藤「んーん、言うてないけどちょっと長いやんな、どうしたんやろ?」


佐知子「うん、ほんまどうしたんやろね、清美ありがとうね」


佐藤「うん」



9組の教室から出て廊下に出て歩き出す。


俺「そういや、明日終業式やんな?」


佐知子「うん、終業式は来るんかな?」


俺「どうなんやろ?ちょっと心配になって来たから、家帰ったら電話してみるわ」


佐知子「うん、また夕飯作りに行った時にでも、どうなったか教えて」


俺「わかった」


佐知子「んじゃ、二年生最後の部活行って来るから」


俺「おぅ、頑張ってな」



佐知子も、かなり心配なのか少しいつもの元気さがないように思った。



家に帰って早速、田中の家に電話をしてみた。



電話をしてみたが話し中なので、しばらく時間を置いてかけ直してみる事にした。



リビングでテレビでも見ようとソファーに座ってテレビを点けてテレビを見て時間を潰す。



しばらくすると、ソファーの隣に舞も来て一緒にテレビを見出した。



30分くらい経ったので、再度電話をしてみたがまだ話し中だった。



リビングに戻って、テレビでもみようとしたら舞がソファーを占領して横になってテレビを見ながら「さっきから、どこ電話してんの?」と言ってきた。


俺「田中の家に電話してんねやけど、話し中やねん」


舞「長電話でもしてるんかな?」


俺「そうなんかな?また後で電話してみるわ」



そう言ってソファーに居場所がなくなった俺は、舞の上に座ってやる事にした。


舞「ちょっと!何すんねん!?変態!」


俺「あははっ、ソファー独り占めにするからやん」


舞「もう!」



とか言いながら、ソファーを半分空けてくれた。



ドラマの再放送を見ていたら、時間を忘れていた。



インターホンが鳴って出てみると、佐知子だったので家に入れて、田中の家に電話をしたが話し中だった事を言った。


佐知子「今してみたら?もう大丈夫ちゃう?」


俺「そやな」



そう言って、もう一度田中の家に電話をしたがやっぱり話し中だった。



リビングに行って、キッチンにいる佐知子に「まだ話し中やわ」と言った。


佐知子「えぇ?まだ?受話器上がってんのかな?」


俺「もう一回後でかけてみるわ」


佐知子「ほんまに美幸どうしたんやろ?」


舞「美幸ちゃん、何かあったん?」


佐知子「舞、教えてあげるから手伝って」


舞「うん!」



佐知子が、田中が3日間学校を休んでいる事を説明しながら、舞と夕飯を作った。


佐知子「じゃあ舞、それフライパンで焼いて皿に乗せて来てね」


舞「わかった」



俺は、キッチンのテーブルの椅子に座っていた。



佐知子も、向かいのテーブルの椅子を引いて腰掛けた。
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