ため息をついた日
とにかく、優愛はこのまま暗い夜道を通りそうだから、少し後ろ、何かあったら直ぐに駆けつけられる距離を保って着いて行く事にした。

優愛は時々立ち止まりながら、何かを思い出しているようだった。

付かず離れず、一定の距離を保ちながら歩くのは以外と大変だった。
(俺、ストーカーみたいだな…。)

ただでさえゆっくりとアルイテイタ優愛の足は、マンションの前まで来るとピタリと止まってしまった。
(ここまで戻って来てくれたんだから、優愛なら必ず部屋まで帰ってくる。)
そう思い、正面のエントランスとは反対側の非常階段から部屋までかけ上った。

(………!4階で良かった………。)

肩で息をしながら部屋に入り、準備をしておいたパスタを茹でる。

茹であがったパスタをザルにあげる。
(遅いな…。またどこかに行っちゃってないよな…。)
ソースを温め直しながら、段々と不安になってきた。
パスタとソースを絡めているところで、静かに鍵を開けるおとがした。
「!」
大急ぎで玄関へ行くと、下の階の人に迷惑と怒られてしまった。

お帰りと言うと、ただいまと返ってきて、少しホッとする。



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