異世界で家庭菜園やってみた
その夜、悠里は夢を見た。

現実のことのように思えるくらいに鮮明な夢だった。



皆が笑っている。

たくさんの野菜を手にして笑っている。

抜いたばかりの、まだ土の付いた根菜や、虫食いだらけの青菜や……。

そんな野菜を調理して、皆が食べて「おいしい」と言って笑ってる。

この場面を見るために、悠里は頑張って来たのだと、そう思えて嬉しかった。

けれど、笑いながら赤い実にかぶりつこうとした時、ふと、一つの思いが過る。

(これで、わたしは、もう用済みなのかな?)

目的を達してしまったから、もう要らなくなるの?

そう思った途端、皆の姿も、たくさんの料理も消え、場面が切り替わった。

ウリエルやコウメさまの顔が、一人ずつ浮かんでは消える。

そうやって浮かぶ人の顔は、どれも無表情で……。













< 138 / 152 >

この作品をシェア

pagetop