異世界で家庭菜園やってみた
 小さな子供のように後ろからついてくる。

 こんなわたしに手を引かれ、アシュラムさんがついてくる。

 ああ、そうだ。

 きっとアシュラムさんは、誰かにこんなふうに、ここから連れ出してほしかったんだ。

 それをずっと心のどこかで待っていた。

 だから、わたしについてくる。

 きっと、もういいんだよと言ってもらえるなら、わたしでなくても良かったのだ。

 それがたまたま、わたしだっただけだ。

 でも、それだけにわたしには責任がある。

 いつも面倒なことを避けてきたわたしでも、この責任だけは放棄しちゃいけない。

 これは心底からは人を信じることの出来ないわたしの試練でもある。

 アシュラムさんが本当の意味で孤独を感じなくなるまで、わたしは彼の傍にいてあげよう。

 彼に生きていて良かったと思ってもらえるように。

 楽しいと思ってもらえるように。

 そうすればきっと、わたしも、わたし自身の存在を許すことができるようになるかも知れない。

 鉄でできた鍬を心の拠り所にしなくても生きて行かれるようになるかも知れない。

 だから、わたしはアシュラムさんを守る。

 彼がもう大丈夫だと言ってくれるまで。




 それは他者からすれば、とてもいびつで、独りよがりな関係だったろう。

 しかしこの時確かに、悠里は心からアシュラムに寄り添いたいと思い、アシュラムもまた自身が召喚した姫としてのユーリではなく、志田悠里という個人の存在に目を向けようとしていた。

 それは誰にも侵すことのできない、二人の真実だった。





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