異世界で家庭菜園やってみた
「ま、待って。ウリエルさん」

「なに?」

 振り返れば、二人はまだ手繋ぎ状態。

 なんなんだよ。

 がっくり肩を落とすウリエルに気付いているのかいないのか。

 そんなウリエルに悠里は明るく言い放った。

「三人で行きましょう」

「……」


 言葉をなくすウリエルに、悠里はさもいい方法を思いついたとでも言うように目を輝かせていた。

「三人で?」

 いい大人が三人で連れ立って。

 しかも、会いに行くのはそのうち一人の父親だというのに。

「だって、わたしは王宮に入れるような身分じゃないし、アシュラムさんもあまり王宮には慣れてないみたいだし。でもウリエルさんは顔パスでしょう」

「顔パス、じゃあないよ」

 ああ、負けたよ。

 これも惚れた弱み、という奴だろうか。

 正直アシュラムと二人きりにさせておくのも不安だった。

 それに。

 こうして悠里の傍にいられるのも久方ぶりの事だった。

 会えない時間に、ウリエルの想いは強くなる一方で。

 考えるのは悠里のことばかり。

 己の女々しさに自己嫌悪に陥りながらも、ただ一筋に彼女に恋している。

(こうして呼び止めてくれたということは、少しは落ち着いたのかも知れない)

 なら、少しでもいい。

 彼女の傍にいたい。

 それこそが、ウリエルの正直な気持ちだった。



 
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