異世界で家庭菜園やってみた
トーサ村で一夜を明かした次の日。

王宮に向かう馬車の中で、アシュラムは自分の思いの中に沈んでいた。






 痩せた土地で野菜を育てようとしているユーリの気持ちを思えば、もっとたくさんの協力者が必要だろうと思う。

 けれど、今さら国王に奏上したところで、国王が私の意見を聞いてくれるだろうか。

 私は反逆罪に問われてもおかしくない行いをしたのだ。

 国王に対して魔法を使い、彼の意識を一時的にせよ奪ってしまったのだから。

 おそらく王宮に赴けば、私は囚われるに違いない。

 無論、縄を受ける覚悟ならある。

 だが。

 やっと手にした悠里という安息の場所。

 彼女の傍で、彼女のために働きたい。

 それだけを国王に上申することができれば……。

 私が変わろうとしているのだということだけでも、父に分かってもらいたい。

 そう。

 冷めた関係であっても、国王は私の父なのだ。

 それすらも私は意識の奥に押しやり、狂気のままに、いざとなれば国王を殺めてもいいとさえ考えた。

 その私の考えを、あの時父は感じ取っただろう。

 魔法を使おうとする私に、瞠目した父の目には恐怖しかなかったから。

 どんな言葉も、もう父には届かないだろうか……。

 国王と臣下という関係の前に、私たちは親子だったのだと。

 そのことについて腹を割って話したいと。

 今さらだと一蹴されそうだが、それでも私がそう思っているのだということだけでも伝えることができれば。

 そして父に謝ることができれば……。

 心を閉ざしてしまった息子を許してほしいと。

 私が魔法の力を持って生まれたことに、一番苦しんだのはあなたではなかったかと。

 縄を受ける前に話したい……。




 
< 148 / 152 >

この作品をシェア

pagetop