キミさえいれば
生徒会役員選挙が始まり、次の役員が決まると、私達生徒会役員の仕事はついに終了になった。


顧問の先生が、辞めたいと言っていたのによく最後まで頑張ったと、私を褒めてくださった。


クラスの女の子達の策略だったとは言え、生徒会役員になれて本当に良かった。


美咲という親友も出来たし、ちょっと問題もあったけど、優しい先輩達にも恵まれた。


そして何より……。


ずっと探していた人に出会えた。


人間万事塞翁が馬って言うけど、最悪だと思っていた事が、私を幸せに導いてくれた。


私、今すごく幸せかもしれない。


「ねぇ、凛。

田辺のクラスにさ、昨日転校生が来たんだって」


休憩時間、美咲が私の席の前に座って、ふいにそんなことを言い出した。


「転校生?」


高校に転校生が来るなんて、すごく珍しい。


入学して初めてのことかもしれない。


「それがさー、すごく目立つヤツらしいの。

髪の毛が真っ赤で、背がすごく高くて、身体もごつくて。

いかにもケンカが強そうなんだって」


「うっ、なんか怖いね」


「イケメンと言えばイケメンらしいんだけど、なんか目つきが怖いんだって。

田辺は近づきたくないタイプだって言ってたよ」


「ふぅん……」


まぁ、私には関係ないことだけど……。
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