キミさえいれば
それからの毎日。


私は想像以上に大変だった。


ハヤト君は昼休憩や放課後になると、必ずと言っていいほど私に会いに来た。


ハヤト君は転校生というだけでも注目されるのに、その風貌がかなり目を引くので、一緒にいる私も目立って仕方がなかった。


それに気がつけば、私達が幼なじみだという事が、ハヤト君の口から一気に広がっていた。


「ねぇ、凛。

黒崎先輩に一喝してもらったら?

いくら幼なじみだからって、相当しつこいわよ、あの藤堂ってヤツ」


休憩時間、美咲がそんなことを言い始めた。


「アイツも相当ケンカ強そうだけど、黒崎先輩には絶対敵わないわよ。

思い切ってブン投げてもらえば?」


美咲の言葉に、私は苦笑いをするしかなかった。


確かに、先輩が普通の彼氏ならとっくにそうしてもらってる。


だけど、ハヤト君と黒崎先輩を会わせるわけにはいかない。


だから、しばらくはこうしてなんとか耐えるしかない。


とにかく波風は立てたくない。


私にとっては先輩が全て。

 
それを守るためなら、私は頑張れるから……。


だけど、そうやってなんとかやり過ごす日々は、そう長くは続かなかった。
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