キミさえいれば
私の問いに、遠くを見るような目をする黒崎さん。


「そう、ね……」


黒崎さんは一度深呼吸をすると、ゆっくりと口を開いた。


「実はね。

私も昔、凛ちゃんと同じような経験があるのよ」


「えっ?」


そ、それって……。


「高校3年生の、ちょうど今くらいの時期だったかしら。

相手は高校2年生。

同じ学校の後輩だったの」


うそ……。


黒崎さんも、高校時代に妊娠していたの……?


「高校卒業も間近だったし、私は産めると思ったの。

相手のご両親もね、息子は学校を辞めさせてすぐに働かせるからって、そうおっしゃってくださっていたの。

だけどね……」


「だけど……?」


「私の父が、猛反対したの……」
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