キミさえいれば
「たもっちゃん、研修はどう?」


たもっちゃんは先週、N大を無事卒業していた。


「うん、結構大変かな。

仕事になるとすげー厳しいんだよ、あの人」


「加奈子ママは社長さんだから。

当然なのかもしれないね」


「でも、ありがたく思ってる。

実の息子でもないのにさ、将来俺を黒崎建設の跡継ぎにって言ってくれて」


「そうだね」


加奈子ママはたもっちゃんを、本当の息子のように思ってくれているんだ。


そして私も4月からは、事務員として仕事をさせていただけるし。


本当にありがたいよね。


「あ、そうだ。

2階のリフォーム終わったから。

里穂のお部屋もちゃんとあるよ」


「えー? 里穂のおへやがあるの~? やったぁ」


「リフォームなんてしなくても良かったのに」


大きなお屋敷だし、あのままで全然問題なかったのに。


「社長が二世帯の方がいいって言うんだ。

新婚だし、三人での生活を楽しみなさい、だってさ」


私は同居でも、気にしなかったのにな。


だって、実のお父さんがいるわけだし。


でも加奈子ママがそう言うなら、素直に従っておこうかな。
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