アイツと私の世間事情
…あるぇ?
先輩は真っ赤な顔で少し俯きながら言っていた。冗談という訳ではないらしい。

私は内心焦りながら先輩に質問した。

「え、先輩の好きな人って中島じゃないんですか?」

すると、先輩はキョトンとした顔で言った。

「いや、違うよ?どうして?」

…なあんだ、違うのか。
少しほっとしたような気がしている自分を見ないようにして、私はしどろもどろで弁解した。

「い、いやほら中島って凄くモテるからそうかなぁって」

「あー、中島君って私の趣味じゃないけどかっこいいもんねー!」

私が最初との口調との違いにしどろもどろしていると、先輩が少し恥ずかしそうに言った。

「あ、ごめんね…べらべら喋っちゃって…」

「い、いえ、ちょっと最初のイメージと全然違うなぁ…って思って」

すると先輩はハッとした様子であわあわと喋りだした。

「ごめん、私ちょっとテンションが上がるとベラベラ喋っちゃう癖があって…」

「いや違うんですよ、今の方が可愛いのにもったいないなぁって思って」

「本当に!?」

パァァと一気に表情を明るくした先輩に少し和みながら、私はコクコクと頷いた。
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