【BL】生まれ変わって会いましょう。
「何や盛り上がってますなぁ。」
朱鷺が笑いながら妖怪の方を見た。
ん?
もしかして……。
「佐紀様に触れようなんて、無礼な奴ですね。」
龍さんもまた妖怪の方を見る。
「………もしかして、みんな見えてる?」
俺の問いに三人はにっこりと笑った。
“なぜ……なぜだ……どいつからも霊力を感じないのに!なぜ我の姿が見える!?”
「そんなの決まってるじゃん!」
壱さんは俺に抱きついたまま、舌をべーっと出す。
「まぁ、考えるまでもないですね。」
ふふっと龍さんが、笑う。
「そやなぁ、そりゃ愚問っちゅうやつやなぁ。」
口元を綻ばせ、朱鷺の一重の瞳が開いた。
“なんだ、何なんだよ、お前達は!”
「だからうるせーんだよ。格下が」
要樹が一歩また一歩と妖怪に近付いていく。
「てめーが俺達の霊力を感じないのは、俺達よりも力が下だからだ。」
“ち、近付くんじゃねぇ!殺すぞ!!”
「やってみろ、出来るならな。」
フッと笑って要樹が手を伸ばす。
“やめ――”
要樹の手が妖怪に触れた瞬間、ふわっと弾けるように妖怪が姿を消した。
まるで最初から何もなかったように。
そこには何も残っていなかった。
「てめーごときが、敵うわけねーだろ。」
そう言って要樹は腕を下ろした。