【BL】生まれ変わって会いましょう。

式神………?


「え……ってことは人間じゃないの?」


目を丸くする俺に朱鷺は笑った。


「残念やけどぉ、今は人間ですわ。」
「へ?」


首を傾げた俺に龍さんが困ったような表情を見せた。



「貴方が、そうしたのですよ。」
「え?」
「覚えていないのでしょうけれど、貴方が私達を人間として転生させたのです。私達は力と記憶を持ったまま、何度も転生をした。貴方を守るために。」


力と記憶………。


「私達が幾度転生しても貴方だけは転生しなかった。私達には貴方のいない記憶だけが蓄積された。そしてようやく……」


龍さんが俺の手を取る。


「佐紀様、貴方に出会えたのです。何年も待ち続けておりました。」


龍さんが膝をつけば、壱さんも朱鷺もそれに習う。


「ちょっ、だから、それはやめてってば!」
「また御会いできて光栄です。これからは私達がこの命をもって御守りいたします。」
「わかった、わかったから!みんな止めてよ!」


慌てる俺を見て、みんなが笑う。


「もう……。でもどうして俺だけ記憶がないんだろう?それに俺は見えるだけで、妖怪を倒せたりもしないし。」
「それは残念ですが私達にも分かりません。」
「そっか……。あのさ、一応聞いとくんだけど、」
「はい?」
「俺って前世は、その……女ってことだよね?」
「ええ、それは美しい女性でした。姫様でしたから。」


にっこり微笑む龍さんに、俺の心境はちょっと複雑だったりして。




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