【BL】生まれ変わって会いましょう。
「姫様はね、スッゴく綺麗で優しくて、みーんな大好きだったんだよ。」
壱さんも目を輝かせて言う。
「そう、だったんですか……。なんかごめんなさい。俺、男で……。」
みんなの記憶の中の“姫様”とは程遠いなぁ。
「別に謝ることないで。その清い魂は変わっとらんです。なぁ、そう思いますやろ?」
朱鷺は教室を出ていこうとしていた要樹に投げ掛けた。
「………知るか。」
そのまま足を動かそうとした要樹を呼び止める。
「あ、あの!」
要樹は首だけ振り返り、横目で俺を見た。
「助けてくれて、ありがとう。」
「………別に。」
それだけ言うと要樹は立ち去ってしまった。
「本当、素直じゃないですなぁ。誰よりも一番、会いたかったくせに。」
朱鷺は可笑しそうにクスクス笑う。
「え?そうなの?」
「まぁ、その辺は本人に聞いてみるのが一番ええんとちゃいますか?」
「う、うん……」
聞くって言ってもなぁ。素直に答えてくれる気がしない。
「佐紀様、そろそろ午後の授業が始まります。」
言われて腕時計を見れば授業開始五分前。
闇雲に走った俺は場所が分からず、朱鷺に連れられ教室へと戻った。
その教室に要樹の姿はなかった。