ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
ミチになら、永遠に愛されると信じてた のに。
愛されるどころか、利用されるだ け……。
多くは望まない。
モテたいとは思わないし、チヤホヤもさ れなくていい。
ただ、私だけを目一杯愛してくれる人が ほしかった。
その相手がミチだったらよかったのに、 うまくいかない。
彼にとって、私は何なのだろう。
カウンターにもたれるようにして両手で 頬杖をついていると、
「すみません、これ」
遠慮がちな言い方で、声をかけてくる男 性客がいた。
私と同じ年くらいの、ガジュアルファッ ションに身を包んだ人。彼の手には、商 品として陳列されていた新品のアルバ ム。
アルバムなら、こんなショボい写真屋な んかじゃなく雑貨屋とかショッピング モール内のオシャレな店で買えばいいの にと思いつつ、店員モードスマイルを顔 に貼りつけ接客した。
「ありがとうございます、980円になりま す」
相手が財布から代金を出すまでの間に、 私は素早く商品を包んだ。