恋愛学園




"桃也"と呼ぼうとしたら、横にあった桃也の手によって私の口は塞がれてしまった。



「言ったよね、俺に任せてって。芹那は少し黙ってて」




いきなり桃也の顔がアップになって、桃也の柔らかい茶色の髪が私の頬に当たって耳元で桃也の声が聞こえてくる。




え、笑顔が怖い……。
笑っているけど後ろから黒いオーラが漂う桃也の言うことを聞いてお口にチャックをするように黙ると、桃也のオーラは一変して甘ったるいピンクオーラに変わった。




「君が、ホントに俺の事しか考えられなくなるように……壊してあげるから、芹那」





「…………」




黒いオーラ桃也のせいで、血の気が引いてしまったせいか私の顔は全然赤くならなかった。
周りではキャーっと女の子の奇声が聞こえてきた。
さっきまでなかったのにいつの間にかギャラリーが出来ていた。
さすが……桃也。




「…………」





奇声が響く中、一つだけすごく突き刺さるような視線を感じて目線だけをそこに向けて私は数秒経たずに後悔をした。
そして、何事もなかったかのように視線をもどす。
視線の先にいたのが……青と憂だったから。
わたし達よりも先についていたはずの二人が……なんで?




「Mr佐藤、残念」




「これをクリア出来ないなんて初めてだよ。憂は、何もしなくても赤く……あっ」





先生の声に桃也は苦笑を浮かべながら私の上から退いて憂のことを愛おしそうな顔で話す。
やっぱり、二人は話し合って早く誤解を解いた方がいいんだよ……。





さっきの方に目を向ける。




「…………」
「…………」




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