恋愛学園
「……憂?」
後ろの憂の頭を撫でながら優しく呼び掛けながら軽く後ろに目を向けると憂の目はもう潤んでいた。
そんなに深刻だったっけ、この二人……?
「桃ちゃん、私のこと怒ってる……きっと。もう優しくしてくれないよ……」
多分、私ぐらいしか聞き取れないだろう憂の声。
そっか、不安なんだ。
でも、桃也は憂のことしか考えてないし大丈夫だと思うけどな。
桃也の方に目を向けると私の方を見ていた。
もちろん……私じゃないけど。
少し悲しそうに私の後ろにいる憂を見つめているようなそんな気がした。
「大丈夫、ほら憂行っておいで」
「憂、長引く。早く行きな」
憂を所定の位置に連れて行って小さなその両手に少し大きめの弁当箱を持たせる。
少し、心配だけど……大丈夫だよね??
憂から離れた場所に柊花と向かうと捨てられた子犬みたいな目で私たちを見ていた。
「それでは、葉山さんに泣かれるほど嫌がられてる佐藤くん頑張ってくださいね」
この状態を一番楽しんでる腹黒王子が桃也を怒らせるんじゃないかという言葉を放つ。
そして、憂がさっきよりも怯えた表情をする。
一歩も動けない憂と腹黒王子を睨んでる桃也。
「ねぇ、柊花……大丈夫かな?」
「……さあ?」
「大丈夫でしょ」
隣にいる柊花に聞いたら何故か柊花のいない方から声が聞こえてそっちに目を向けるとさっきまで女装していた青が男の姿に戻って隣にいた。
「……あ、……っ!!」
女装していた青は見ていても平気だったのに、青に戻ると何故か心臓が大きな音を立てる。
そして、気付かないうちに柊花の後ろに隠れていた。
「……ねぇ、憂の真似でもしてんの?芹那ちゃん?」
怪訝そうな顔で私を見る青。
まぁ、そうだよね……けど、なんか無理なんだもん!
頭を左右に振る。
「……芹那もあんたと話したくないって」
めんどくさそうにそう声を発したのはそう、私の前にいる柊花。
"も"って言うのは、さっきから一向に動かない憂も入ってると思う。
「え、俺何もしてないのに……?」