恋愛学園
「動かないでね、芹那ちゃん」
そう言って、自分の着ていた緩めのカーディガンの裾で私の右頬を擦り始める青。
「……い、いだっ……痛いっ!」
「文句は会長に言って。会長がしなければ良かったんだから」
頬を裾で擦るにしても、こんなに顔を近づけてきた意味は何なんだろう?
しかも、後ろと横からは笑い声が聞こえるし。
バイ菌扱いされてる本人が笑ってるって何……?
「よし、じゃあ行こ。学園長、失礼しました」
「……えっ、ちょ……待ってって青っ!」
人の頬を擦ったら満足したのか学園長に挨拶をするとそのまま私の手を掴んでそのまま学園長室を出ようとしたら、後ろから学園長の声が聞こえた。
「杜川くん、期待していますよ」
「ご期待には応えられません」
なんの話……?
でも、あまりいい話ではないことは感じた。
心なしか、青の声がすごく沈んだ声だったから。
「芹那さん、また――」
――バンッ!
腹黒王子の言葉を遮るように青は学園長室のドアを壊れるんじゃないかってほど強く閉めた。
「……俺たち、4階だから」
「え、4階って1年生とかじゃないの……?」
「違うよ、1年は5、6階だから」
5、6階!?
そんなの毎朝登ったら筋肉痛になるよ!
「1階が3年のA~Fクラスと職員室と学園長室があって、2階が3年のSクラスで3階が2年のA~Fクラスで4階が2年Sクラスで5階が1年のA~Fクラスで6階が1年のSクラス」
何故か、青は丁寧に教えてくれたけどさ……うん、おかしくないか?
なんで、1階ずつに3クラスとかじゃなくてA~Fってギュウギュウ詰めみたいな配置にしてSクラスだけ省いてんの?
「…………」
「大丈夫だよ、エレベーターあるから」
さすが、金無駄遣い学園!
でも、何故だろう……この学園にあるエレベーターには乗りたくない。
「……青、階段は?」
「あるよ?階段がいいの?」
何故かちょっと驚いた顔をする青。
なんでだろ?
階段で昇たいがそんなに珍しいの?