恋愛学園



「芹那ちゃんが階段がいいなら、行こっか……階段で」



「……ちょっ、待って……。青、その手何?」



"階段で"と言った後に青の手が私の腰と膝の裏の方に伸びて来ていてすごく嫌な予感がした。



「何って?階段で行くんでしょ?」



「うん、階段で行くよ?で、その手は?」



「手?これは俺の手だけど?」



うん、そんなこと知ってますよ。
紛れもなく青の手だね。私が聞きたいのは誰の手とかじゃなくて、この手は何をしようとしてるかなのに。
この子、日本人なはずなのになんで日本語通じないの?



「大人しくしてね。階段選んだの芹那ちゃんだし」




「……っ!」



そう言うと青はそのまま私を持ち上げた……腹黒王子と同じ方法で。
エレベーターのすぐ隣に階段があって張り紙を見た瞬間に、私はもう絶対に何があっても階段を使わないことを心に決めた。



階段使用条件
パートナー(♂)がパートナー(♀)を
お姫様抱っこして行きたい階まで運ぶ事。



階段使用条件って何っ!
んな条件要らないでしょ!



「青、降ろして!あんたの腕折れるよ?」



「芹那ちゃんが暴れなければ折れないよ?そんなヤワくないし。それに、芹那ちゃん軽いし」




青の細い腕のどこに私を持ち上げる力があるのか教えて欲しい。
まぁ、細くても筋肉あったしな……この人。




青との出会いを思い出すと、一番最初の青は上半身裸だったしな……。
てか、やっぱりこの浮遊感とゆらゆら揺れる感じは慣れない……慣れたくもないけど。





「……着いた」




そんなことを考えているうちにいつの間にか4階まで登り終わったらしい。
4階まで二人分の体重で上がってるくせに息一つ切らないこの男はなんなんだろう?


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