姫様参上!

それからしばらくして、ドアの向こうが静かになった。


そして、階段を下りて行く音が聞こえた。


「愛海。さっきはごめんな。」


ドア越しに聞こえてきたのは、彗月の声だった。



「彗月は悪くないよ。気にすんな。」



「一応謝っただけだから。」



「なんだよ。馬鹿。」



「馬鹿で結構。てかあいつどっか行ったぞ?」



「いい。あんな奴。
それに、いつもの事だから。」



「そうか……」



「とにかく入って。
デザインの続き考えなきゃ。」



「いや、俺はもう帰るよ。」



え………?

なんで?


だってまだデザイン出来上がってないんだよ?



「デザインはまた一緒に考えよう。
お前は、あいつのところに行け。」



「………しゃーねーな。」


私はベッドから起き上がり、ドアを開けた。



「また、な。」



「うん。じゃあね。」



また彗月は、優しい笑顔を私に見せた。



ーードキッ……



ん?今ドキッ……ってしたよね?



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