ORANGE SNOW
部屋を飛び出し、隣の部屋にいるであろうセルリアが無事か確かめようとしたら、廊下にセルリアがきらを抱き締めて、もはやぼろぼろの壊れた自分の部屋のドアを睨むようにして見ていた。
まるでその先に、何かがいるみたいに。

「セル、リア…?」

「さくら…ッ。
気をつけて、誰かいるわ」

焦げ臭い匂いもセルリアの部屋から出てきているのを感じ、ぱちぱち、と炎が微かに燃えるような音が聞こえている。
蓮華に待機するように言い、さくらは手に水の魔力を溜めた。
そして、呟くように「詠唱」をする。

「鋭磨がれた純潔なる水の乙女よ、我が手にその鋭き力を―――――ッアクアランス!」

詠唱が終わり、さくらの頭上に水で出来た槍が現れ、セルリアの部屋へと猛スピードで突っ込んでいく。
それを見、さくらも部屋へと入る。

「あらら…」

部屋へ入り、呆れたように声を漏らすとため息をついた。

ところどころ焼け焦げがついており、あったはずの窓が丸ごとなくなっていた。
そしてさくらの魔法により部屋中が水びたしになっていたが、そんな事よりも一番印象的なのは―――茶髪のセミロングを持つ少女が、その華奢な体に似合わない大きな片手剣を持って、立っていた。

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