ORANGE SNOW
ヒュー、とリヴィアスが口笛を吹き、スノウが呆気にとられてるとさくらはため息をつき、窓に近寄り下を見下ろした。
水の刃が地面に突き刺さっており、土ぼこりが舞っていてよく見えないが、手ごたえは感じたので炎獄に直撃したのだろう。

「あぶねーな、私に当たるとこだっただろ」

「手段を選んでる場合だった?」

リヴィアスの言葉を軽くあしらうと、手を腰にあてスノウに向き合う。
鋭く刺さるような視線で見てくるさくらに、スノウはぐっと身を引かせたが、その目が語っていることに答えようと静かに口を開いた。

「あの子の名前は、炎獄(えんごく)。
そしてあの子が私に言ってた「霙(みぞれ)」という名は、私を操っていたとある「機関」でのニックネームみたいなモノです」

「ちょっと、ちょっと。
機関とかニックネームとか意味わかんないんですけど」

蓮華ときらを抱えて部屋に入ってきたセルリアは、嫌な予感があたった、と言わんばかりにスノウに食ってかかり、睨めつけた。

「大体あんた・・・ッ」

そして昨日と違いフードをかぶっていない少女に近づき、露になっているそのとがった耳を指差す。

「エルフじゃないの!

エルフが何考えてるか知らないけど、あんたの仲間、
あたしの部屋こんなにして、きらを危ない目に合わせて・・・ッ。
リヴィアスの恩人だかなんだか知らないけど、
ちゃんとした説明ないとあたしは納得しないんだから!」

肩を震わせ怒鳴る様子に、リヴィアスは落ち着け、と声をかけるがセルリアは首を振り、依然とにらめつけたままだった。
スノウは少し悲しそうにすると、そっと耳に手を当て、俯き加減にぼそぼそと話し出した。
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